『戦争を起こすのは自衛の意識だ。悪意は人を大量には殺せない。だからこそ人類は、この忌まわしい営みからいまだに手を切れない。そしてこのメッセージを、より具体的にあらわしたものが、憲法九条だ。
(中略)
九条の独自性は、自衛権を否定したことにある。たぶん今の世相なら、「そんなことを本気で言っているのは日本くらいだ」と笑う人のほうが多いのかもしれない。僕は笑わない。半世紀以上も前に戦争の真髄にたどり着いた国に自分が生まれたことを、とても誇らしいと思う。』
森達也日本国憲法」より)