『あいつは今も俺を信じていたのだ。しかし、肝心の俺は自分を信じることに失敗した。己に絶望し、みっともなく今までの所行を後悔し、ただ無為に不貞寝していた。俺は何よりも、自分に敗れたのだ。あれほど誇り高かったこの俺が!』
森見登美彦新釈 走れメロス 他四篇」より)