あの煙突のこと。

このダイアリーには自分の好きなものをのせたいなと思っていた。それで自分の好きなものって何だろうと考えたとき、そこにあったのがあの煙突だった。僕はどんな煙突でも好きなわけではない。ただあの煙突だけだ。
この街に引っ越してきて初めてあの煙突を間近で見たとき、まずその存在感に圧倒された。それまでに見たことのないすごいリアルな感じがそこにあった。しばらくの間あの煙突を見とれている自分がいた。それからあの煙突を見ることが僕の暮しの一部になった。
毎日あの煙突を見ているのだが、一向に飽きることがない。徐々に細くなっていくお腹のあたりのラインもこの上なく美しいし、真下から仰ぎ見た時の巨大感もたまらない。下から上へと薄い青から白のグラデーションになっていく感じもきれいだし、頂部に描かれたブルーのユリカモメもアクセントになっていてかわいらしい。見れば見るほど新しい発見があって魅かれていく。

考えなしな言い方をさせて貰えれば,「ただ煙突と空を撮影しただけ」ということになるのだろう.
だが私には表現し難い「不安感」や「焦燥感」を与える写真,ということになる.
見付けて「しまった」時間が悪く,全部見てしまいたいのに見てはいけない気がする,という不安定な気持ちで仕事をする羽目に.
http://d.hatena.ne.jp/shzm/20060817#p5

煙突の写真を見てこんな風に心を動かしてもらえたのなら、ちょっとはあの煙突の持つ何かを写真に収められたのかななんてうれしく思う。