「こころ」を読む。

夏目漱石の名作を榎本ナリコが漫画化。榎本ナリコの繊細な線が原作の陰のある雰囲気によくなじむ。時代設定を現代に変えているのだが、そこにも違和感がなく、やりたいことを見つけられない若者という現代的な視点がぴったりと当てはまっている。
中盤、主人公が先生の過去を受け止める決意をする場面は必見。「生きた、真に迫る、何かがほしい」と初めて心の奥から湧き出てきた想いを主人公は先生にぶつけ、先生の人生におけるたったひとりの先生から信頼される人になる覚悟をする。
ひとりの人の人生と真正面から向き合う覚悟。その覚悟は今の僕に欠けているもの。僕はそれに気づかされてしまった。

こころ (ビッグコミックススペシャル)

こころ (ビッグコミックススペシャル)