王(長嶋)ボール的なもの。

かつて「王ボール」「長嶋ボール」という言葉があった。超一流選手である王貞治長嶋茂雄が打席に立った時にきわどいストライクのボールを王や長嶋が見逃したら、審判が思わず「ボール」とジャッジしてしまう。「王(長嶋)が見逃すのだから、ボールだろう」と。王(長嶋)のいわゆる「顔」がボールにさせてしまうのだ。
世の中には、そういう王(長嶋)ボール的なものはたくさんある。
たとえば資生堂TSUBAKIのCM。人気女優・モデルが大量に出てくるあれ。あれは日本を代表するアートディレクターである大貫卓也が企画したからできるものであって、そこらへんのペーペーのディレクターがあんな企画を出したら、「そんなの無理に決まってるだろ、馬鹿」の一言で終わりだろう。あれは大貫卓也の「顔」があればこそ実現できたものだろうと思う。
あと、あれもそうだ。中田英寿の自分探し。中田英寿だからいつまでもぶらぶら旅行していても何も言われないが、普通の人がしてたら「ニート」の一言で片付けられてしまう。中田英寿だから許される、王(長嶋)ボール的なものだろう。
そういう王(長嶋)ボール的なものが、良いとか悪いとか、そういうことではなく、そういうものがあるなぁと、ただそれだけ。