「長嶋茂雄と黒衣の参謀」を読む。

長嶋巨人の96年のメークドラマを影で支えた男がいた。過去の栄光に浸りきり腐りかけた組織を改革しようとして道半ばで敗れた男のドキュメント。
外から口出しをしてくるV9戦士のOBたち、無能なフロント陣、足を引っ張るコーチたち*1、読売グループからの圧力。長嶋と彼を影で支える河田弘道はそれらと戦い、弱体化した巨人軍を改革しようとしていた。その光明が見えかけた時、その改革への道のりは突然途切れた。支え続けた長嶋の裏切りといってもいい自己保身のために。
ほぼ10年前に起こったことを描いたドキュメントだが、今の巨人の堕落を見ると現在もこの本に書かれているような裏でのゴタゴタと同じようなことが起こっているのだろうと容易に想像できる。これだけ内部での争いに力を使っていたら、相手チームと戦うどころではない。戦う以前の問題だ。
この本はあくまで黒衣の参謀、河田弘道の側から描いたものであるので、この本に書かれたことが真実のすべてであるとは言えないとは思うが、確かな真実の一面であるということは間違いないはずだ。
プロ野球ファンなら絶対読むべき。アンチ巨人ファンなら、なおのこと。テレビではあんな良い人そうなのに、裏では……、なんていうワイドショー的なミーハー視点で読むだけでも楽しめます。

Gファイル―長嶋茂雄と黒衣の参謀

Gファイル―長嶋茂雄と黒衣の参謀

*1:投手コーチたちと長嶋監督が冷戦状態で、ブルペンの情報を長嶋監督に流さなかったり流しても嘘の情報を流したりするので、長嶋監督は適当に交代を告げるしかなかったりする。なので、まったく準備をしていない投手が突然コールされて、ブルペンがしっちゃかめっちゃかになったりする。